小型セメントタンカー
国内では特に小型セメントタンカーに専ら使用され、 圧縮機とパイプラインのみで簡単に、粉体輸送できます。
高圧力(5kg/cm2)から 低圧力(1.0 kg/cm2)の範囲を運転圧力の調整によって同一配管で、 輸送量の変更及び輸送距離の変更が可能です。
機関室の圧縮機(通常補機駆動方式)又はDECK上の 補機付圧縮機からの圧縮空気(5kg/cm2~1.0 kg/cm2)は 共通配管された空気管(3B~4B)を通して各TANKに導かれます。TANK内に導かれた 空気は内部の通気装置を通って粉体内に進入して流動化させます。遠隔操作盤上の圧力計を 確認のうえ吐出弁を開けば粉体は目的地に向かって排出されます。
TANK
積込時の排気は集塵機の設置により、外部への粉塵飛散を防止しております。
主たる機能
荷揚セメント能力が変更可能。
補機駆動式の空気圧縮機を2台備えているため、受入 側の設備能力に応じて、セメント荷揚げ能力が変更出 来ます。
従って作業船、トラック揚げ時はゆっくりと、又、大 型サイロ揚げ時は最大揚荷能力を発揮出来ます。
多種の積荷を同時に運搬可能。
従来のカーゴホールドの役割りをセメントタンクが行 っております。従って、最高6種類の粉体を同時に運 搬し、1か所又は複数の揚地にて荷役が行えます。 各々の粉体は、タンクにて完全分離されるため、粉体 同士の混合、汚染は皆無です。
揚荷場所での接舷自由。
自在接手型の圧送吐出管を備えているため、作業船又 はSS岸壁にて、左舷、右舷又は直角接舷による荷揚 げが可能です。従って最小限の接舷場所で、荷役が出 来ます。又、吃水も浅く設計され、且つ、船橋のマス トも折りたたみ式により、浅瀬又は河岸の工業作業現 場への納入が容易です。
総トン数 299トン 全長 51.51m セメント積高 600トン(max650) 幅 9.00m 満載吃水 3.3m 深さ 3.65m 空船吃水 平均2.2m セメントタンク 80m3×6基 主機 ディーゼル 1000PS 積込能力 450トン/時(max500)
主たる設備
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セメント圧送タンク |
自動逆洗式集塵機 ろ過面積25m2×2基 |
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搭載前のセメント圧送タンク |
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セメント荷揚げ用遠隔制御盤 |
船橋 |
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超軽量型マンホール |
補機駆動式空気圧縮機 |
荷役装置
はじめに
セメント荷役装置は、従来の技術を再検討して開発したもので従来品と違いセメントの積込み、陸揚げが遠隔操作にてスムーズかつ安全にできる新鋭耐久型装置であり、しかも299型総トン船にして600トンものセメントが運搬出来る経済的な船であります。この装置はセメント陸揚げ用圧送装置とセメント積込み用エヤースライド装置の2つからなり、それぞれ次のような特徴を持っています。
セメント陸揚げ用圧送装置
この装置はセメント又は炭酸カルシユームなどの粉体物質を圧縮空気で流動化させ移送する装置で、中・短距離輸送に適しています。標準の輸送能力は2通りで1つは、輸送管の長さが150mの場合で毎時150トン、1つは同じく100mの場合で毎時200トンで計画されている。輸送方法は各セメントタンクとパイプラインを直接接合して1本の主輸送管を通して行う。
主な特長は以下の通り。
1 バラセメントを大量・高能率・経済的に輸送できる。
2 操作が簡単。全操作はブリッジから遠隔操作ができ、監視、運転とも要員は一人ですむ。また、低所、高所問わず、貯蔵槽(サイロ)への輸送はホースの接続だけで短時間でできる。
3 セメントの漏洩防止に優れ、粉塵公害の心配がない。
4 構造が簡素化されており、保守・点検・整備が不要。
5 運転圧力と圧縮機の空気量が自由に変えられ輸送スピードを自在に調整できる。
6 圧縮機は補機駆動方式により運転方法は単独・並行の2通りが選択でき、従来の主機駆動方式に比べ省エネで主機関の傷みも少ない。
7 タンク内付属の通気装置はそれぞれの用途に応じて設計されているのでタンクと圧縮空気の使用だけで輸送可能。つまり、通気装置への空気圧力でタンク内の粉体を流動化させ、更に調整した空気圧力を加えて輸送する。
8 セメント積み能力100トンのタンク6基がそれぞれの排出管で1本の主排出管(150A・パイプ)に接続され右舷・左舷用の自在型セメント取出し口から陸上サイロに圧送される。更に、3基と3基とのグループ配管もされており、それぞれのタンクから同時荷役が行える。またSSから海上作業船への輸送では付属設備を設計、SS~海上作業船の一貫輸送もスムーズ。
セメント積込み用エヤースライド装置
この装置は船にセメントを均等に積み込む装置で、船体の傾きを防ぐ装置も備えられている。このため、船はバラストの調整が不要でセメントの積込み作業がスムーズかつ安全に行える装置である。
主な特長は次のとおり。
1 積込みは船の右舷に設けられたセメント取入れ口からエヤースライド装置を 通じて陸上からセメントが導かれる。
2 トラックからタンクに積み込む場合もトラックからホース接続をするだけで 簡単にできる。
3 操作は容易で、各タンクのセメント分配は遠隔操作にて弁の切換えだけで行 える。
4 特殊の集塵機(自動洗浄装置付き)を取り付け、積込み時に粉塵が生じない。
5 セメントの積み過ぎには細心の配慮をしている。タンクには粉面検出センサーが取り付けられ、セメント量が高位に達すると警報ランプがつきブザーがなる。それも2段階でチェックできる警報システムにしている。まず予備(スタンバイ)警報でランプが点灯し、次に積込みタンクの終了準備をし、その後満杯になると高位警報が鳴るといった具合である。操作中、両者の確認が遠方でもできるよう警報ブザーの音色も違っている。
6 各タンクの積込み弁は独立しているため、異種の粉体をどのタンクにも積込める。また、トラックからの積込口もそれぞれ独立しているため、異種粉体同士の混合が避けられる。
7 毎時450トン(最大500トン)の積込み能力があるので、大型船用の積込み設備を利用できる。
荷役能力
受入側の設備容量に応じ、4”、6”又は 8”のホースに て接続し、それぞれの容量に応じた圧送風量3段階 (10m3/分~44m3/分)に調整供給する風量でセメント 荷揚げを行うため、最少の風量で最大の荷揚げ量を可 能にします。
ケース | 輸 送 条 件 | 調整風量 m3/分 |
荷揚げ能力 トン/時 | ||
配管径 | 水平m | 垂直m | |||
1 | 4B | 20 | 20 | 10 | 40~50 |
2 | 4B | 30 | 20 | 22 | 60~80 |
3 | 6B | 100 | 30 | 22 | 70~90 |
4 | 6B | 150 | 30 | 44 | 120~140 |
5 | 8B | 100 | 30 | 44 | 180~200 |
6 | 8B | 150 | 30 | 44 | 130~150 |
7 | 10B | 180 | 30 | 44 | 140~160 |
備 考:
更に荷稼能力を増加する必要のある揚地においては、移動式のコンプレッサーを船上 又は陸上に仮に設置し、ゴムホースにて本船に空気供給を行えば、荷役能力は増大し、 且つ、12Bの陸上の輸送管でも対応出来ます。